ダンケルクを観て
この作品は、第二次世界大戦中、仏ダンケルクにて、独軍に囲まれた英仏軍を舞台に、「逃げる」「撤退する」を陸海空の三視点で捉えて描写している。
だれしも、一度は人生の中で「逃げる」「諦める」場面というのがあったはずだ。恥ずかしい事だが僕にもあった。
学生時代、野球部を辞めたことだ。少年時代、友達と野球をして遊ぶのが好きでしょうがなかった。夢はもちろんプロ野球選手だった。
だが、中学校に入り、部活として野球に取り組んでいくにつれて「野球が面白くない」と感じていった。僕は友達とワイワイやる遊びの野球が好きで、部活レベルの野球は好きではなかったのだ。単純に野球をやる、練習する以外のことに面白みを見いだせなかったのだ。
「根性の無い奴だな」と思われるだろう。そう、僕は根性無しだった。
放課後、練習場に行くのが嫌で嫌でしょうがなかった。そんなある日、僕は練習中に足を怪我して2週間ほど休まなくてはならなくなった。
この時の僕は「嫌な練習が休める、ラッキー」ではなく「もう辞めれる」と心が折れてしまった。怪我をした次の日に監督のところに行って「辞めます」と言って僕の野球生活は終焉した。
もちろん、「辞めなきゃよかった」って思う瞬間もあったし、「あのままいたら絶対精神が壊れていた」と納得する瞬間もあったが、整理はつけられていない。
戦場から、逃げられた者、逃げられなかった者、逃げなかった者
それぞれの立場について描写されているので、むごい結末をむかえた者もいた。
特に日本人は、戦場から逃げる→非難されるというイメージが染みついている。しかし、この作品では帰還した兵士たちに「よく帰ってきた」と称えられている場面がある。
逃げたことで、そのまま残った場合とは違ったものが得られるということを思い出させてくれて、逃げた過去にひとつ後付けの理由を生み出してくれた作品だった。
それが良いことか悪いことかは、まだ分からないけど