斉木楠雄のψ難を観て

 以前書いたと思うが、僕は中高生の頃読んでいた少年誌はサンデーだった。しかし、それは同世代の多数派では無い。僕は野党だった。野党というと日本の国会における野党はなかなか世間から信頼を得ていない弱小政党が多いが、まあそんなことは今どうでもいい。とにかく僕の世代でサンデー派はマイノリティだったのだ。

 もちろん、与党はジャンプ派だ。帰り道にコンビニでサンデーを買おうとしているのを同級生に見られ、鼻で笑われた。「なんでサンデーなんだよ笑」って。

 

 まあ、僕はあまり世渡りというものが上手でなく、口下手でもあったので「サンデーだっておもろいマンガあるねん!」と強くは言えず、苦笑いをするしかなかった。

 つくづく、鼻で笑われる生き様だと自己嫌悪に襲われる。

 

 当時の僕は「そんなにジャンプがおもしろいんだろうか?」と疑問を抱き、なけなしのこづかいをはたいてジャンプを買ってみた。

 

 後から知ったのだが、確かに「友情」「努力」「勝利」のテーマにのっとった作品ばかりで、ちょっとひねくれた学生だった僕はいささか食傷気味にページをめくった。「あーあ、今週は2冊分もお金使ってもうたな」とか思いながら読み進めている中、途中でピタッと手が止まった。それが「斉木楠雄のψ難」だった。

 

「鼻で笑う」

この言葉にピッタリ合う作品だった。

 

 ジャンプにもそんな作品があるんだなあとなかば感心しながら読み進めてしまった。その後、ジャンプ大好き人間の友達に単行本を持っていないか聞いて読ませてもらったくらいだ。「おめえが買えよ」という御指摘は甘んじて受け止める。ただ、学生時代はそこまでお金が無いものだというものも思い出して頂きたいものだ。

 

 そんな感じで触れていたこの作品。また「銀魂」の監督の福田雄一さんの作品ともあって、やはり観たいと思っていた。

 

 マンガ同様「鼻で笑う」という言葉にピッタリ合う原作であり映画であった。

 

 「銀魂」を観た時はゲラゲラ声を出して笑ってしまったが、今回は「フンッ」と笑ってしまうネタばかりで、観終わって外に出た時も「フンッ」と一度鼻で笑ってから歩き始めた。

 

 笑の種類を意図か偶然かは分からないが、操ることのできる福田雄一さんには憧れの一言しかない。僕も、笑われるよりかは笑わせたいさ。頑張ったところで「鼻で笑われる」のが精いっぱいかな・・・

 

 ちなみにψってギリシャ文字で「プサイ」って読むんですね笑

f:id:torasan6:20180225222616j:plain