ラストレシピ 麒麟の舌の記憶を観て

 思い出の味ってなんだろうなあ。正月に食べるあんこ餅が思い出の味かもしれないなあ。

 

 僕のじいさん家(親父の方)は農家で、毎年暮れになると「誰がこんなに食うねん!?」ってくらい大量に餅を作る。鏡餅用の大きなものと先に分けておいて、家族全員でつきたての餅を一定の大きさに丸めていく。テレビの年末特番を聴き流しながら行うのが今でも我が家の恒例行事になっている。家族みんながつぶあん派のなか、ひとりこしあん派の幼い僕はワガママを言ってこしあんを用意してもらい、自分の食べたい分だけこしあんの入ったあんこ餅を作っていた。

 

 そのことが祖母には印象が強かったようで、僕が高1の春休みに1週間ほど入院した際に毎日10個も入ったパックのあんこ餅も持って見舞いに来て「大層な病気やないとはいえ、毎日そんなに食えるかよ」と今でも笑い話になる。今でも大好きだし、また年末になれば自分でこしあんのあんこ餅を丸めているんだろうなあと思う。社会人とはいえ実家暮らしなんで。

 

 この作品の魅力的なところは、天皇陛下に召していただくための豪華絢爛な料理とともに、僕たちに馴染みのある料理と両方とりあげられている。到底僕なんかでは一度も口にできないような高級料理ばかりでは「どーせ食えないし」と飽きていたと思う。アド街ック天国のお店屋さんの料理観てた方が「食べに行きたい」と意欲的になってしまうだろう。しかし、馴染みのある料理がレシピを作る料理人やその家族を繋げていることに、料理人と言う世界が、俗世離れした世界では無いのだと気付かせてくれた。

 

 最後に話が繋がった時「あぁ~」て声が出そうになった。こういうタイプの映画が僕は好きです。

 

 観終わった後、とってもお腹が空いたので今日の晩御飯は少し豪勢にしよう笑